特定同族会社の留保金課税

上場会社など所有と経営が分離されている会社においては、通常、税引き後の利益を毎期株主に配当し、その配当金に対して課税がなされますが、所有と経営が分離されていないオーナー企業(同族会社)の場合、株主に配当されず、本来配当されるべき金額に対して課税されないことになります。これを防ぐため、特定の同族会社が各事業年度の所得を留保した場合、その留保金額に対して課税するというものが留保金課税になります。

課税方法は、年3,000万円以下の課税留保金額に対しては10%の税率で、年3,000万円超年1億円以下の課税留保金額に対しては15%の税率で、年1億円を超える金額の課税留保金額に対しては20%の税率で課税されます。

ここで課税留保金額とは、当期留保金額から留保控除額を差し引いた金額で、留保控除額とは以下のうち最も多い金額となります。
・所得基準額・・・所得等×40%
・定額基準額・・・年2,000万円 (事業年度が12ヶ月未満の場合は月割)
・積立基準額・・・資本金額×25%−利益積立金額

適用対象となる法人は、税務上の特定同族会社のうち、資本金1億円超の法人になります。特定同族会社とは、被支配会社(ある株主グループ(関係者とその同族関係者)が発行済み株式の50%超を保有する会社)で、被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、その法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合においても被支配会社となる会社をいいます。